世界湿地の日を祝うin湖北2012報告

構成:須川恒(琵琶湖ラムサール研究会)



 毎年2月2日前後の1ヶ月を世界湿地の日として、1971年2月2日にイランのラムサールで締結された湿地保全の国際条約であるラムサール条約を啓発する活動が世界各地で行われています。1993年に条約湿地として琵琶湖が登録され、1997年に湖北(長浜市湖北町)に開設された琵琶湖水鳥・湿地センターにおいて、水鳥や湿地の恵みを啓発する活動がつづけられています。2011年1月24日に琵琶湖水鳥湿地センターにおいて、ラムサール条約40周年を祝う世界湿地の日の活動をしました。その内容については以下をごらんください。
  http://www.biwa.ne.jp/~nio/eng/index_e.html
 今年(2012年)の世界湿地の日(WWD2012)のテーマは、湿地とツーリズムです。

 湿地とツーリズムをテーマとする2012年の世界湿地の日にかかわる湖北における活動を紹介します。

タイトル
「コハクチョウやオオヒシクイについての講演、湖魚を味わう、沿岸の湿地と水鳥を訪ねる」
Reporter/ organizer: 植田潤(琵琶湖水鳥・湿地センター)/環境省生物多様性センター・バードリサーチ
Date: 2012年1月21日、22日
Location: 滋賀県長浜市湖北町琵琶湖水鳥湿地センターおよび周辺
[Details]

1) 琵琶湖は日本で一番大きい湖です。1993年に条約湿地に登録されました。2008年には隣接する内湖の西ノ湖が琵琶湖に追加登録されました。琵琶湖水鳥湿地センターは1997年に環境省によって開設され、長浜市によって維持されています。琵琶湖水鳥・湿地センターと隣接する湖北野鳥センターは、水鳥や湿地の恵みを啓発する活動をつづけており、琵琶湖湖北地域における湿地とツーリズムの一つの拠点となっています。

2) 2012年1月21・22日には、モニタリングサイト1000ガンカモ類調査の交流会が開催されました。この会は環境省生物多様性センターが主催し、バードリサーチが支援しました。

3) コハクチョウとオオヒシクイは湖北地方で毎冬渡来し多くの人々に関心を持たれています。集会ではコハクチョウとオオヒシクイの国内移動をテーマに,日本海側の渡りルートにある北陸の新潟,石川,福井の越冬地について講演がありました。琵琶湖ではコハクチョウやオオヒシクイは北陸地方が大雪の冬は南下してきます。コハクチョウは湖北では平年は300〜600羽ほどですが,2005/2006に北陸地方の大雪の年には905羽が記録されました。

4) 21日の夜には、近くの料理旅館<うを吉>で、さまざまな湖魚料理を味わう懇親会がありました。魚を、どのように採って、料理をするかの説明を聞いて味わいました。
 鮒の子づくり(さしみ)、氷魚(鮎の稚魚)の茶わん蒸し、わかさぎのてんぷら、いさざのつくだに、ウナギのじゅんじゅん(すきやき)です。いちばんの珍味は鮒ずしです。鮒ずしは、匂いが気になって食べることのできない人も多いのですが、何人かの人には初めてであってもとてもおいしく食べてもらえました。

5)1月22日午前中には、湖北周辺の湿地と水鳥を見るエキスカーションがありました。
 コハクチョウのねぐらとなっている早崎のビオトープ水田、採食地となっている水田、また山本山のオオワシを見学し、その後、尾上港より湖上タクシー(湖をツアーするために漁船が改造されています)にのりました。私たちは、琵琶湖の中でもっとも多くの水鳥が越冬する沿岸域を見学し、伝統的な定置網であるエリについて漁師の松岡正富さんからから説明してもらいました。
 船上から数百羽のトモエガモが飛んでいるのを見ました。石川県にあるラムサール条約湿地の片野の鴨池で発信機をつけられたトモエガモの2羽の電波が山本芳夫さんによって確認され、鴨池発のトモエガモが琵琶湖にやってきていることが初めて確認されました。

Website 
上記内容の英訳
集会のプログラム
http://www.bird-research.jp/1_event/gankamo20120121.html
集会の紹介
(Bird Research News Vol.9 No.2のP6に紹介 )
http://www.bird-research.jp/1_newsletter/dl/BRNewsVol9No2.pdf
トモエガモ確認について山本芳夫さんによる報告
(生物多様性センターのニュース欄)
http://www.biodic.go.jp/tomoegamo_news.pdf

参加者によるレポート(琵琶湖水鳥湿地センター植田潤様のブログ)
http://blog.ko-blog.jp/kohoppi/date/2012-01-24.html

Photo


モニタリングサイト1000ガンカモ類調査の交流会


鮒の子づくり(さしみ)


採食中のコハクチョウ


湖上タクシーで、魚をどう捕まえるかの説明をする漁師の松岡正富さん


数百羽のトモエガモが飛んでいました


山本芳夫さんは、2羽のトモエガモから発信する電波をキャッチしました。


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 解説 世界湿地の日の活動、今年(2012年)のテーマ「湿地とツーリズム」の詳細
 世界湿地の日の活動についての解説は琵琶湖ラムサール研究会による以下をお読みください。
http://www.biwa.ne.jp/~nio/ramsar/ovwwd1.htm
 世界湿地の日の活動は1997年からはじまっています。
 各地の活動報告を、スイスにあるラムサール条約事務局に報告し、世界の人々は、条約のウェブサイトから各地の活動内容が見ることができます.
 今年の提案のページは以下です。
http://www.ramsar.org/cda/en/ramsar-activities-wwds-wwd2012index/main/ramsar/1-63-78%5E25324_4000_0__
 WWD2012用にラムサール条約事務局が作った、冊子 「湿地とツーリズム」(英語版)を、蕪栗ぬまっこくらぶのボランティアの協力を得て、ラムネット日本が環境省からの委託を受けて作成した日本語版が、ポスターとともに以下にアップされています。
  http://www.ramnet-j.org/2012/02/information/1180.html


 昨年(2011年)の各国の活動報告を国のアルファベット順に紹介しています。
 日本(Japan)からは二つの報告が紹介されています。
 http://www.ramsar.org/cda/en/ramsar-activities-wwds-wwd2011reports/main/ramsar/1-63-78%5E25047_4000_0__