鳥類保護委員会議事録
 2015年9月18日(金)15:00-16:50
兵庫県立大学 教育棟I-205
出席者:大迫義人(委員長),高橋満彦(副委員長),小高信彦(副委員長),呉地正行,佐藤重穂,白木彩子,須川恒,武石全慈
欠席者:尾崎清明,北村亘,出口智広

大迫委員長より挨拶.検討事案として,過去の総会決議のフォローアップ,風力発電への対応,および総会決議の要望が無かったことの説明.

検討事項について

1)総会決議その後の経緯
a)沖縄島在駐米軍北部訓練場内ヘリパッド移設計画の見直しの要望書(1999年度)
東村高江区では,2014年までに2か所のヘリパッドが完成し,すでに米軍に共用されている.新たなヘリパッド建設の動きはないが,今後も情報収集に努める.
b)愛知県渥美半島での自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場計画の再検討を求める要望書(2004年度)
防衛省は,渥美半島のヘリコプター訓練予定地が猛禽類によって周年重要な場所であることを認識したため計画を取り止めている.さらに,該当の土地は2014年中に防衛省から財務省に移管された.よって,今後,防衛省が該当土地を使用することはないと考えられ,本委員会としてのフォローアップは終了する.
c)上関原子力発電所建設計画に係る希少鳥類保護に関する要望書(2008年度)
2015年の町長選挙で,原発反対派は候補を出さなかったので原発推進派の人が町長になっている.本委員会としては動向を引き続き注目してゆく. 

2)風力発電所問題への対応
秋田県大潟村干拓地に予定されている大規模大型風車群の建設は,現在のところ進んでいないが,建設により鳥類の保全において問題がでるようであれば,鳥学会からの要望を検討する.
また,現在,風力発電所建設関連の案件は非常に多く,本委員会が個別に対応することが困難な状況である.かつ建設計画は,環境省のアセス部門と野生動物部門が個別に進めており詳細がわかりにくい.本委員会としては,学会員に対して風力発電所とその計画に関するローカルな事案や鳥類への影響などの情報収集を継続する.

3)環境省レッドリスト第5次改訂
第4次改訂のウズラのランクアップは,本委員会からの意見が反映された結果であることより,第5次改定においても,本委員会として内容を精査し,必要な場合は変更の要望を行なう.特に,オオミズナギドリの繁殖コロニーにおいて,ノネコによる捕食の影響が深刻化しており,環境省のレッドリスト追加について関係研究者と連携して検討する.

4) 鳥類の外来種対策
2015年3月に,外来種被害防止行動計画と生態系被害防止外来種リストが策定されたことより,本委員会では学会会員にそのことを周知し,被害防止のための関係機関との連携を促進してゆく.特に,懸案種であるコブハクチョウとカナダガンについては,慎重な対応が求められる.

5) 国内希少野生動植物種の追加指定
 環境省は,2020年までに種の保存法における国内希少野生動植物種の指定種を約300種追加する方向で動いている.増やすにあたっては,合理的な指定の基準と優先が必要であり,かつ増加した分,各種の保護増殖関係の予算が削減されることから,本委員会としては,指定種の希少性と有効性について科学的に評価し対応してゆく.

6) 鳥類保護委員会の今後の方針
 従来の希少鳥類保護のための決議と要望書提出の対応だけではなく,今後は,生物多様性保全の観点から外来種問題や鳥獣管理対策も含めて積極的に検討していく.

7) 委員長・副委員長の交代
2016年から,委員長は佐藤重穂氏,副委員長は白木彩子氏が務める.

(鳥類保護委員長)