カムチャツカにおける国際的に重要な鳥類の生息地

ユーリ.N. ゲラシモフ &  ニコライ.N.ゲラシモフ 
ロシア科学アカデミー極東支部カムチャツカ太平洋地理学研究所


 20世紀末1100種以上の鳥類が世界のレッドデータブックに含まれ、そのうち123種がロシアのレッドデータブックに含まれていた。
鳥類保護の最もよい手法は、もっとも重要な生息環境、つまり換羽期や渡り期、越冬期に集中する場所や、最も重要な繁殖地を保全することである。これが、最も重要な鳥類の生息環境を、調査し、指定して保全するいくつかの異なった国際的計画が存在する理由である。約2〜2.5百万羽のカモ類、50万羽以上の渉禽類、数十万羽の他の水鳥類が春にはカムチャツカに渡ってくる。これがカムチャツカがこれらの計画に含まれている理由なのである。
 最も重要な地域保全計画の一つは、1971年にイランのラムサーで採択されたラムサール条約である。1975年にソ連はこの条約に加盟した。この時点で13の湿地がソ連のラムサール湿地に登録された。しかし、とても大きな国はガンカモ類にとってもっと多くの国際的に重要な湿地を持つべきであることは明瞭である。1980年代はじめにラムサール条約湿地の観点からリストが作られた。この中には250の湿地が含まれていた。
 1991年のロシア崩壊後3ヶ所しか追加登録はされなかった。1994年にロシアにおけるラムサール計画における新しい進展として、ロシア政府の決定によって35ヶ所の条約湿地が登録された。この湿地にはカムチャツカにおける4ヶ所:パラポル、カラギンスキー島、モロシェチナヤ川とウトホロク岬を含んでいた。これは新規登録湿地の11%で、面積としては15%となる。不幸にして、その後は、ロシアにおいては新たな登録ができない状況である。
 しかし、鳥類学者は継続的にロシアにおいて鳥類にとって重要な湿地についての情報を収集してきた。その結果、2000年にラムサール湿地のシャドーリストを出版した。その中には175ヶ所の湿地が含まれ、そのうち14ヶ所はカムチャツカにある。
 他の湿地保全にかかわる重要な計画が1996年にオーストラリアのブリスベンでできた。これはシギ・チドリ類(渉禽類)のネットワークである。モロシェチナヤ川河口は、このネットワークの一部でああり、現在まで、ここは、ロシアにおける唯一のサイトである。並行して、ツル類やガンカモ類のネットワークもできた。不幸にして、2000年代に入ってロシアでは、ラムサール条約湿地と同様に、これらのネットワークのあらたな指定はできなくなった。
 世界における生息環境保全の最も著名な計画は、IBA(重要鳥類地域)計画である。この計画は1980年代にバードライフ・インターナショナルによって確立された。この計画はすべての鳥種を含み、公的な政府の裏づけをもたない。
 カムチャツカの鳥類学者は1990年代にこの計画に参加した。最初のカムチャツカのIBAのリストには、28ヶ所の国際的に重要なサイトが含まれていた。カムチャカのIBAはアジアとベーリング海地域のIBAのリストに含まれた。2007年に39サイトを含む新しいリストが準備されたが、不幸なことにまだ出版されていない。                    (仮訳:須川恒)


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