ワークショップ参加者アンケートに書かれた意見より
イノシシ被害を受けている市民
具体的に参考になる話が多かった。対策のまとめを新聞発表なり、単行本として他の(=京都府、京都市)自治体へも配って欲しい。私たちのするアピールではなかなか取り上げてもらえない。個人ではできない対策に智恵を絞って欲しい(自治体へ)。現場主義をとってほしい。現場の実態をみることが大切。
環境系学生
「動物保護」という言葉が安易に使われている中で、被害にあわれた方の意見や気持ちがかなりダイレクトに伝わってきました。そのような意見を知らずに、「共生」という言葉を語ることに怖さを感じました。今日のこの機会をもっと都市の人に、特に小、中、高校生を対象にし、話を聞いてもらうと更に良いと思います。改めて鳥獣害問題の奥の深さ(人間の社会構造の変化、里山の荒廃など)を知りました。
森林生態系学生
鳥獣害の問題は本質的に、生態学や社会学、経済学や政治、文化など様々な分野からの視点が必要な、複雑で難解な問題であるということをとても感じました。それと同時に、この問題を考えていくことが、地域を再生するきっかけになる力を秘めているだけでなく、人と自然との新たな関係を作ってゆく大切なものだということも感じました。
今回このワークショップに参加してよかったと思います。ただ少し欲を言えば「問題解決に向けてどのような仕組みづくりを作っていくべきか」ということについて、現実論もふまえた具体的な話もお聞きできれば良かったと思います。(獣害や野生生物の専門家人材育成システムや、住民とのコンセンサスをどのように作るか、ということなど)
里山保全活動にかかわる行政職員
里山保全活動に関わるものとして、考えておくべき鳥獣害問題について考える良い機会であった。現代里山論においても、野生動物と出会う場面は必ずあり、これに対する姿勢として、“野生生物と闘う里山活動”という提案が大変新鮮であった。現代にふさわしい闘う関係を体験する場も必要であると考えた。
森林管理担当行政職員
今回のワークショップでは、里山のみでなく「里」においての土地利用や生息地管理が必要であるという話が多く、いかにもその「里」の社会的な問題についても踏み込んだ意見が聞けて非常に参考になった。
現在までの鳥獣害対策は「個体数管理」と「被害防除」をメインに行われてきたが、「生息地管理」についてはとてもおろそかにされてきたように思う。(おそらく直接的な効果を見ることができないからであろう)今回はその必要性について強くアピールされていたので、非常に嬉しく思う。
今後は、「生息地管理」を目的とした応用技術について研究を進めていっていただきたいと思う。行政側でもできるかぎりのことをやっていきたい。
環境系研究者
様々な方向、立場、地域からの研究を一同に聞くことができ、有意義だった。次回は龍谷大の研究成果について(中間報告でもよいので)の話を聞けるとよいと思う。
環境系研究者
「獣害」で切り取ったことで、話がしやすくなっていたと思います。ただ、さらにその先の、地域性・特異性はまだ論じられない状態だと思いました。日本の自然にかかる問題を扱うにあたり、里山、獣害、さらにもう一軸くらいセンス良く立ててみたいと考えさせられました。
猿害にかかわる研究者
サル(猿害)の調査をしていると少なくとも1年間、普通は数年間つねに地元の人たちと顔を合わせ、声をかけて話をすることになる。せめてそれくらいのタームで地元住民の声を拾ってみてはどうか。おそらく全く違う結果や分析になると思う。「里山を考える」というならもっとこの点について踏み込んだ議論をすべきではないか。多くの講演者の方が、ガラスケースに入った、生活を感じさせない「里山」を議論されているという印象を強くもった。
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