京都府レッドデータブック(鳥類)改訂用サイト

作成開始 2011年9月9日
最新更新日 2017年3月4日(URL改訂)


 京都府では2002年のレッドデータブックが10年たつため、20112012年の2年間かけて、多くの観察者の方からの情報を元に改訂をして 2012年に改訂レッドリストを作成しました。
 今後新しく指定された種や、記載内容を改訂した情報を掲載したレッドデータブックの改訂版が作成されます。
 改訂法については、後述している説明(2011年9月9日作成)を参照してください。

 表1は改訂された2012年のレッドリストを、生息環境別、希少カテゴリー別に整理した表です。
 http://larus.c.ooco.jp/KRDB2ND.html
 この表では、どのように希少性の判定をしたかが判るようになっています。

 レッドデータブックは、京都府の確認種から、1)迷行種、2)情報不足種、3)多数種を除いた種を判定対象種とします。
 次に、希少性を判定する対象個体群を明らかにします。
 たとえば、多くの個体が越冬している種で、少数が繁殖している場合は、繁殖個体群が対象個体群となります。

 対象の個体群 B:府内繁殖個体群 W:越冬個体群 T:通過個体群
 対象個体群の個体数や分布のパターンについて1)極少、2)少、3)少なくはない(普通にいる、多いなど)  
 対象個体群の個体数や分布における減少のパターン 1)減少、2)減少はしていない(増加しているも)をそれぞれ明らかにします
 対象個体群の特徴を元に以下のように希少カテゴリーの判定しています。
 絶滅寸前種(極少かつ減少)、 
 絶滅危惧種(極少ないが減少はしていない、か、少なくて減少している)
 準絶滅危惧種(少ないが減少していない、か、少なくはないが減少している)
 なお、個体数は多いが繁殖地が限定されている種は要注目種としています。
 表1には、種ごとに、その種の対象個体群は何か(種名の後のB,W,T)、また絶滅危惧種と準絶滅危惧種では、二つあるパターンのどちらにもとづいて希少性を判定したか判るようにしてあります(絶滅危惧種は極か減、準絶滅危惧種は少か減で示しています)

表1には希少カテゴリーを変更した種については( )か〈 〉をつけています。
1)(  )は、この10年間の観察者の情報から季節移動型の変更、個体数レベルの変更などをすべきとの判断があって希少カテゴリーを改訂した種で、以下の計10種です。
 チョウゲンボウ、コウノトリ、マミジロ、ツリスガラ、ハマシギ、オシドリ、アオバト、ジュウイチ、コルリ、キバシリ
 なおトモエガモに[ ]をつけているのは、非少・減の根拠で準絶滅危惧種としていたのを、少・非減で準絶滅危惧種と判断しなおしたためです。
 
2)<  >は前回の2002年時点で近畿地区版レッドデータブックの京都府の情報などから対象種として検討すべきだった種で検討の結果希少カテゴリーがついた種で、以下の計6種です。
 クロガモ、ヒメウ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、タゲリ

3)ランクの変更があった15種(9種+6種)のうち、2002年はランク外で今回はリストに入ったのは以下の計9種です。
 2)の6種(クロガモ、ヒメウ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、タゲリ)、とコウノトリ(迷行種扱いから)、ハマシギ、ツリスガラ
4)一方、2002年では希少ランクがついていたものの今回はずしたのは計5種です。
 イワツバメは少でなく非少、タカブシギは減でなく非減と新たに判断しランク外としました。
 オオマシコ・コイカル・ホシガラスの3種は毎年どこに出現するといえない(迷行種としての扱い)ため
レッドリスト対象種からはずしました。

 表2に希少カテゴリ−を変更した種について、2002年のカテゴリーからどう変更したかの一覧を示しました。

 新たにリストに入ったのが9種で、はずれたのが5種ですので、2002年のレッドデータブックに104種がはいっていたのが、2012年では4種増えて108種となりました。
 
  


 希少カテゴリーが改訂された特徴的な種をいくつか紹介します。
  いままで繁殖していなかった種があらたに繁殖を開始し、まだ極めて少しか確認されていなので絶滅危惧種
 となった種としてチョウゲンボウ、コウノトリ、マミジロがあります。
  チョウゲンボウは越冬個体群として準絶滅危惧種であったものが繁殖個体群として絶滅危惧種に、
  コウノトリは、迷行種として対象外だったのが京丹後市で繁殖を開始したために絶滅危惧種に、
  マミジロは、通過個体群として準絶滅危惧種であったのが芦生における繁殖情報により絶滅危惧種となりました。

    クロガモは、2002年には対象種として検討が忘れられていた種です。北部の越冬海域における確認数が極めて少ない
   点を踏まえて、越冬個体群から絶滅個体群と判定しました。
    オシドリや、アオバト、コルリ、ジュウイチ、キバシリといった種は、いままで繁殖期に極めて少数が生息する
   という点から絶滅危惧種となっていましたが、最近の観察記録からは、極めて少数から少数で減少はしてない
   と判断されることから準絶滅危惧種と希少カテゴリーを下げました。これらの種の個体数は10年前に比べてある程度は
   増えてきた可能性があります(単に観察例が増えただけの可能性もあります)。

 まとめ  上記と重なる部分も多いですがまとめると以下のようになります。
 

2012年改訂版鳥類レッドリストについて

 掲載種数
 2012年の改定では鳥類は108種がレッドリストに掲載された。希少カテゴリー別の種数は(( )内は2002年における種数)、絶滅寸前種が8(8)、絶滅危惧種が48(49)、準絶滅危惧種が50(45)、要注目種が2(2)、計108種であった。
 
京都府では現在343種が記録され、このうち31.5%108種がレッドリストに掲載された。2002年では京都府で321種が記録されており、32.4%104種がレッドデータブックに掲載されていた。京都府で記録される鳥種の約3割が、何らかの希少性の指摘がされ保護する必要があるという状況に変化はない。
 生息環境別に種数を見ると(( )内は2002年における種数)、海域・海岸域・離島が17(13)、河川・池沼・ヨシ原が17(14)、水田・畑地・草地が31(30)、山地・山林が40(43)、都市緑地など他の環境が3種(3)、計108種であった。基本的なパターンは変わっておらず、府内の山地・山林などの森林環境とともに、海岸域や河川、水田などの湿地環境が鳥類の生息環境として重要であることが、あらためて確認された。

 改訂された主な点
1)繁殖開始個体群
 3種(チョウゲンボウ、コウノトリ、マミジロ) 府内であらたに繁殖が確認された。チョウゲンボウは京都市内で、コウノトリは京丹後市で繁殖を開始し、マミジロは芦生(南丹市)で繁殖情報が得られた。いずれも極めて少数の繁殖個体群であることから、チョウゲンボウは準絶滅危惧種(越冬個体群)から、コウノトリはランク外(迷行種)から、マミジロは準絶滅危惧種(通過個体群)から絶滅危惧種となった。
 コウノトリは、兵庫県豊岡市における個体群復元事業に
より隣接する京丹後市でも少数個体が周辺生息するようになり2012年に営巣を開始した。
2)希少カテゴリーが変更、リストからはずれた種
 オシドリ、アオバト、コルリ、ジュウイチ、キバシリは、2002年の情報よりは観察記録があることから、絶滅危惧種から準絶滅種となった。イワツバメとタカブシギは、観察結果(減少はしていないし、少なくはない)からレッドリストからはずした。さらに、オオマシコ、コイカル、ホシガラスもレッドリストからはずした。これらの種は定期的に特定の地域に渡来する可能性がない迷行種と判断しなおしたためである。

3)2002年に検討から漏れていた種
 本来2002年時点で、対象種として検討すべきだったがもれていてランク外となっていた種で、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、ヒメウ、タゲリは、準絶滅危惧種(越冬個体群)となった。クロガモも対象種としての検討からもれていたが、京都府だけでなく周辺県の海岸域における越冬期の調査でほとんど確認されておらず、絶滅危惧種(越冬個体群)となった。

 鳥類の地方版レッドデータブックの意義、つくるために必要な目
 地方版の鳥類のレッドデータブックは、その地方の記録種の目録から、まず迷行種や情報不足種、多数種を除いて対象種をしぼる。野鳥は渡りをする種も多いから、対象種を繁殖個体群、越冬個体群、渡り個体群ごとに、個体群の規模や、減少の程度を明らかにして、希少カテゴリーを判定する。つまり、「野鳥」を見るだけでなく「野鳥たち(地域個体群)」の動向を見る目が必要となる。
 
レッドデータブックは、地域の生物多様性の保護を社会的にも進めることできる比較的あたらしいしかけで、次世代に伝える自然財の財産目録づくりと言える。財産目録がないと、開発や乱獲などでいなくなっても(泥棒に盗まれていても)誰も気づかない。1990年代に入って国のレッドデータブックがつくられ、2000年代になって、やっと都道府県単位に地方版のレッドデータブックがつくられるようになった。もっと多くの野鳥観察者が、このあたらしいしかけを理解し、地域の「野鳥たち」の実態が把握できるようになって、地域の自然の担い手として貢献する醍醐味を味わって欲しいと思う。

 新規追加(2013年6月3日)
 表3 京都府レッドリスト(2012年改訂版) 日本鳥学会鳥類目録第7版(2012)順の一覧
 http://larus.c.ooco.jp/KBIRDRDBLIST.htm 



京都府レッドデータブック(鳥類)改訂用サイト(改訂法の説明) 作成 2011年9月9日

 京都府は2002年に出したレッドデータブックが10年たつため、2011年および2012年の2年間かけて改訂します。
 2011年中に仮の改訂レッドリストを作成し、2012年にレッドデータブックの改訂版を作成する予定となっています。
 このサイトは、この作業にかかわる方の便宜を考えて作成したものです。
 関連する資料などを見ることができるようにしたいと思います(希少種にかかわる個々の情報は公開しません)。

A.レッドデータブック改訂の体制
B.2002年版レッドデータブックの内容と作成の考え
C.レッドデータブックの改訂意見の述べ方

A.レッドデータブック改訂の体制
 改訂作業は京都府希少野生生物保全検討委員会の委員が中心となっておこないます。
 鳥は須川と中村桂子様の2名が委員として入っていますが、須川が主責任者となります。
 また調査(協力)者として、以下の方に名前を出す了解を得て委員会に届けています。多くの観察者の方との間を仲介する役割、および改定の際の意見を述べていただくことをお願いしています。
 鳥類についての改訂の体制:( )内は分担内容(敬称略)
 須川恒(全般、主責任者)、中村桂子(副責任者、京都支部、京都市)、狩野清貴(京都府北部)、梶田学(中部)、脇坂英弥(南部)、塩崎達也(情報集積)、和田岳(全般)
    2011年7月16日(土)午後4時から、日本野鳥の会京都支部事務所にて
「京都府のレッドデータブックの改定および、京都府の指定希少生物について」の会合をもちました。
http://www.mmjp.or.jp/WBSJ-Kyoto/index.html  ←事務所の場所
 今後も必要に応じて、会合をもつ予定です。

B.2002年版レッドデータブックの内容と作成の考え
 改訂のためには、2002年のレッドデータブックはどのような考えでできたのかの情報が必要です。
 2002年の京都府のレッドデータブックの作成経過と概要の説明は以下から判ります。
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/bird_g.html
 また各種の説明は以下から読むことができます。
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/bird.html
 2002年版のレッドデータブックをうけて進んだ作業のうち京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例
指定野生生物については以下をごらんください。
http://www.pref.kyoto.jp/kisyosyu/1198225714475.html

 
 2002年のレッドデータブック掲載種を、生息環境別、希少カテゴリー別に整理した一覧表は以下です。
 この一覧表では、どのような考えて希少性の判定をしたかが判るようになっています。
http://larus.c.ooco.jp/KRDB.htm
 京都府レッドデータブックの作成フローを簡単に述べると以下です。
まず京都府確認種から、1)迷行種、2)情報不足種、3)多数種を除いた種を判定対象種とします。
 近畿地区版レッドデータブックと同じ考えを京都府にあてはめたものです。
 参照 近畿地区レッドデータブックにおける希少種選定の方法は以下です
 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/rdb-bird/Methods.html
 1)「迷行種」の決定にあたっては「毎年複数個体が生息・渡来・通過する場所を予見できない種」という基準をもちいる。したがって,近畿地方(京都府)で1か所でも複数個体の生息・渡来・通過が予見できる場所があれば、その種は「迷行種」とはみなされない。
 2)はアビ類のように、海岸を遠く離れた海上に生息する種などで、分布や個体数の多少・増減を観察者がとうてい判断できないとみなせるもの。
 3)はスズメやハシブトガラスに代表されるように,近畿の各府県にごく普通にみられ,誰の眼からみても希少でないことが明白な種。
 それぞれどの種を迷行種、情報不足種、多数種としたかの一覧は以下です。
http://larus.c.ooco.jp/KRDBTAISHO.htm
 次に、希少性を判定する対象個体群を明らかにします。たとえば、多くの個体が越冬している種で、少数が繁殖している場合は、繁殖個体群が対象個体群となります。
 対象の個体群 B:府内繁殖個体群 (B):繁殖期行動圏の一部 W:越冬個体群 T:通過個体群
 対象個体群の個体数や分布のパターンについて 1)極少、2)少、3)少なくはない(普通にいる、多いなどもここ)  
 対象個体群の個体数や分布における減少のパターンについて 1)減少、2)減少はしていない(増加しているばあいなどもここ)
 をそれぞれ明らかにします(情報が少なくて見解が分かれる部分ではあります)
 京都府の場合、個体数や分布パターンどうか、減少についてどうかに基づき、比較的シンプルに以下のように希少性を判定しています。

 希少性の判定 (図1参照)
 絶滅寸前種(極少かつ減少)、 
 絶滅危惧種(極少ないが減少はしていない、か、少なくて減少)、
 準絶滅危惧種(少ないが減少していない、か、少なくはないが減少している)
 その他の種は希少性は認められないランク外となります。
 なお、個体数は多いが繁殖地が限定されている種などは要注目種としています。
  

   図1 希少性の判定の考え方



 一覧表では、種ごとに、その種の対象個体群は何か(種名の後のB,W,T)、また絶滅危惧種と準絶滅危惧種では、二つあるパターンのどちらにもとづいて希少性を判定したか判るようにしてあります(絶滅危惧種は極か減、準絶滅危惧種は少か減で示しています)。

 一覧表においては、環境別のイメージや、保護対策を知ることができる印もつけています。
 水田・畑地・草地における※印:規模の大きい農耕地・府内では巨椋干拓地などに限定して出現する種。
 I:岩倉に1970年代(まだ水田が広がっていた)に確認されたものの、近年姿を消した種(高田,2000)。
 山地・山林における★印:芦生・鞍馬・八丁平・久多・比叡山・愛宕山・大江山・青葉山など(自然度が高く規模の大きい山林)に限定して出現する種。
 指 : 指定希少野生生物に指定の5種
 猟禁: 狩猟鳥だったが禁止対応がとられた種 

 鳥類の地方版レッドデータブックの作成や改訂のためには、まず京都府の鳥類リストが必要となります。
2012年の日本鳥学会目録改訂にむけてつくったリストをたたき台としています。
 
C.レッドデータブックの改訂意見の述べ方

 京都府の鳥類について観察を深めておられる方は、この一覧をご覧になると
1)レッドデータブックに含まれるべきと思われる種が掲載されていない
2)掲載はされているが、ランクが違うのではないか
という意見をもたれると思います。

 それらの方はぜひ改訂意見をお寄せください。
1)に関して 京都府で記録されて対象種としなかった種について、それぞれのどの種を1)迷行種、2)情報不足種、3)多数種としたかの一覧は、以下です(対象種として検討しランク外と判断した種の一覧も示します)。
http://larus.c.ooco.jp/KRDBTAISHO.htm
 なお2002年のレッドデータブック作成過程で、以下の7種は見落としがあって対象種からはずれていたことが判明しており今回の改訂で対象種として扱う予定です。クロガモ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、タゲリ、ハマシギ、ミソサザイ(7種)
これらの種については、ランクをどう考えるかに関してご意見をお寄せください。
2)掲載はされているがランクが違うのではないかと思われる種に関しては、
 まず、2002年版では、対象個体群は何で、個体数や分布情報がどうであって、減少についてどう判定したかを一覧表や、レッドデータブックの種別の説明から読み取って書いてください。
 改訂意見を支える情報を(対象個体群、個体数や分布、増減に関する情報)を、2001年以前と、2002年以降にわけて書いてください。
 2002年版の希少性の判定基準ではこのように考えればよいという改訂理由を書いてください。

 例としては以下です
 チョウゲンボウは、2002年版では、対象個体群は、越冬個体群で、減少はしていないが少ないということで準絶滅危惧種となっています。
しかしここ数年京都市内で極少数が繁殖しています。新たに繁殖をはじめたわけですから、個体数は減少しているわけではないとなります。
しかし個体数や分布からみて極少数と言えますので、改訂意見としては、繁殖個体群が対象となり、絶滅危惧種となり、越冬個体群としては準絶滅危惧種のままであっても、繁殖個体群の希少性を優先させてチョウゲンボウは絶滅危惧種とすべきという意見となります。

 改訂意見は2011年12月末までにお送りください。

                            このサイトの作成者 須川恒 連絡先 CXD00117 ※nifty.ne.jp
                                              ※は@にかえてください